オススメの虫よけは?
2021.05.10
暖かくなって、虫刺されによる受診が増えています。
虫刺されをきっかけに、痒疹を発症すると大変です。
とてもかゆく、治りにくいのです。
こうならないためにも、しっかり虫刺され対策をしましょう。
市販されている虫除け成分は、主に
①ディート
②イカリジン
の2種類があります。
濃度は様々ありますが、濃度=効果の持続時間に関連しています。
①ディート
1950年頃開発された、古くからある虫除けです。
低濃度のものが以前から使用されていましたが、2016年から高濃度(30%)のものが日本でも販売されています。
濃度5%では約90分、10%で2時間、30%で8時間虫除け効果が持続するとされています。
以下の虫に効果があるとされており、幅広く効果が期待できます(アース製薬HPより)。
ディートの問題点としては、神経毒性の可能性があるため、日本国内では使用制限があるということです。
厚労省通達により、具体的には、下記が定められています。
小児(12歳未満)に使用させる場合には、保護者等の指導監督の下で、以下の回数を目安に使用すること。なお、顔には使用しないこと。
・6か月未満の乳児には使用しないこと。
・6か月以上2歳未満は、1日1回
・2歳以上12歳未満は、1日1~3回までとする
また、30%製剤は12歳未満には使用しないこととされています。
ディートの神経毒性に関しては、デューク大による動物実験がもとになっています(脳内アセチルコリン動態に影響を与える可能性、ニューロンの減少等を指摘)。
ただし、研究の妥当性に疑問視がされており、その後の追試では明らかな神経毒性は報告されていません。
そこで、米国では生後2ヶ月以降は使用可能とされています。
事実、これまでディートが原因とされる健康被害は国内で報告されていません。
しかし、日本の厚労省は上記の立場のため、心配な方は以下のイカリジンを使用しましょう。
②イカリジン
比較的最近開発され、2015年から日本では販売されています。
5%〜15%のものが市販されています。やはり15%のものの方が効果が長持ちします。
子供に対する使用制限はありません!
ただし、ノミ、サシバエ、ツツガムシなどには効果が報告されていません。
山などで野外活動をする場合は、ディートのほうがオススメでしょう。
まとめ
子供に使用するのはイカリジン15%のものがオススメです。
中学生以上で山などで活動する場合は、ディート30%のものがよりオススメです。
効果の持続時間は、DEET 30%製剤はおおむね5~8時問,イカリジン15%製剤はおおむね6~8時間とされています。
これらの製剤は塗った直後は虫が近寄りませんが、しばらくすると肌には付着するものの、刺す前に逃げるようになり効果が発揮されます。
塗りムラがあると刺されるため、肌が露出している部位にまんべんなく塗布しましょう。
(服の上からスプレーするのはあまり意味がないでしょう。また製剤によっては服に影響がでます)
なお、自然由来の成分としてユーカリ油なども販売されています。
これは低濃度のディートと同等の効果が報告されていますが、やはり神経毒性等の危惧から、米国では3歳未満の使用は禁止されています。
自然由来だから必ずしも安全というわけではないのです。
個人的にはユーカリ油の製品を選択する理由はないと思います。
個人的なオススメ製品は、イカリジン15%配合の「天使のスキンベープ 虫除け ジェル プレミアム 40g ベビーソープの香り」です。
ジェルタイプなので家の中でも塗りやすいです。
(なお利益相反はありません)
参考文献)
衛生害虫に用いる 忌避剤の種類と特徴 薬局(2018, Vol.69, No.8)
CDC https://www.cdc.gov/malaria/toolkit/deet.pdf
EPA https://www.epa.gov/insect-repellents/deet
厚労省 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/08/tp0824-1.html
https://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000jff9-att/2r9852000000jfmo.pdf
国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/images/vir1/PDF/deet.pdf
デューク大の論文 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14713564/