扁桃肥大・アデノイド肥大
この記事でわかること
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扁桃(口蓋扁桃)とアデノイド(咽頭扁桃)とは何か
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どんな症状が出るのか(小児・成人)
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放置すると何が問題か
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受診の目安と検査
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治療の選択肢(保存的治療と手術)
1. 扁桃とアデノイドって何?
扁桃(口蓋扁桃)とアデノイド(咽頭扁桃)は、鼻・口から入ってくる細菌やウイルスに対して働く免疫組織で、いわゆる「ワルダイエル咽頭輪」の一部です。
幼児期〜学童期にかけて相対的に大きくなりやすく、体の成長や気道の広がりとのバランスによって、症状が強く出ることがあります。日本人小児のデータでも、アデノイド・扁桃は上気道に占める比率が年齢とともに変化し、学童期以降は相対的に小さくなる傾向が示されています。
2. どんな症状が出る?
小児で多い症状
最も重要なのは“睡眠中の症状”です。
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いびきがほぼ毎晩ある
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呼吸が止まる/苦しそうに呼吸する
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寝相が悪い、夜中に何度も目覚める
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起床時にすっきりしない
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日中の眠気、集中力低下、落ち着きのなさ
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口呼吸、鼻づまりが続く
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鼻声、食べるのが遅い
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滲出性中耳炎を繰り返す
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副鼻腔炎を繰り返す
アレルギー性鼻炎やアデノイド増殖などによる鼻呼吸障害が続くと、慢性の口呼吸になり、顎顔面の成長に影響しうることも指摘されています。
成人での症状
成人ではアデノイド肥大は頻度が高くありませんが、扁桃肥大が睡眠呼吸障害に関与することがあります。
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いびき、睡眠の質低下、日中の強い眠気
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反復する扁桃炎
成人のいびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)評価は、全身の要因(肥満、鼻疾患、顎顔面形態など)と合わせて総合判断が必要です。
3. 放置すると何が問題?
小児の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、成長・学習・行動に影響しうるため要注意です。国内のSASガイドラインでも小児OSAの重要性が指摘されています。
また、アデノイド肥大は耳管機能に影響し、滲出性中耳炎の持続・再発に関与します。
4. 受診の目安
次のどれかが当てはまる場合は、耳鼻咽喉科/小児科で相談をおすすめします。
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毎晩いびきがある
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無呼吸っぽい場面を家族が目撃
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口呼吸が習慣化している
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滲出性中耳炎が長引く/繰り返す
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日中の集中力低下や眠気が目立つ
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成長や体重増加が気になる
5. どんな検査をする?
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視診:口蓋扁桃の大きさ、咽頭の狭さ
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鼻咽腔内視鏡:アデノイドの評価
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側面X線:アデノイドの相対的評価
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聴力検査・鼓膜所見:滲出性中耳炎の合併評価
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睡眠検査:必要に応じて
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終夜ポリソムノグラフィー(PSG)
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簡易検査や家庭動画がヒントになることも
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6. 治療
6-1. 保存的治療
症状が軽い場合や、明らかな重症所見がない場合は、
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経過観察
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アレルギー性鼻炎など鼻の治療
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生活環境調整(受動喫煙の回避など)
を組み合わせて様子を見ることがあります。
6-2. 手術(アデノイド切除・扁桃摘出)
小児OSA(いびき・無呼吸)
アデノイド・扁桃肥大が主因の小児睡眠呼吸障害(SBD/OSA)では手術が有効で、国内外のエビデンスが蓄積しています。
日本の施設報告でも、重度SDB小児に対するアデノイド・口蓋扁桃摘出で無呼吸指数が大きく改善したデータが示されています。
小児OSAでは原因が扁桃・アデノイド肥大にあるかの見極めが重要です。
滲出性中耳炎との関係
小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022では、
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4歳未満で、上気道病変に対する明らかな適応がない場合は
滲出性中耳炎に対する初回手術としてのアデノイド切除は推奨しない(強い推奨A)。
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4歳以上では、
鼓膜換気チューブ留置とアデノイド切除の併用を検討してよい(再発率低下が期待、強い推奨A)。
とされています。
反復性扁桃炎
「扁桃肥大そのもの」だけでなく、
反復性扁桃炎など感染を繰り返すケースでは扁桃摘出が検討されることがあります。
適応判断には国際的にはParadise criteria等が知られており、日本の臨床でも参考にされます。
7. 手術の安全性・よくある心配
患者さんがよく心配されるのは
「扁桃やアデノイドを取って免疫が弱くならないか?」
という点ですが、長期的に臨床的に大きな感染リスクが増える明確な証拠は乏しいとされ、
適応がある場合はメリットが上回ると判断されることが一般的です。
もちろん、
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術後出血
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疼痛
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一時的な食事量低下
などのリスクはあるため、年齢・重症度・合併症を踏まえて慎重に決めます。
8. まとめ
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扁桃とアデノイドは子どもの時期に大きくなりやすい免疫組織。
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ただし大きくなりすぎると
いびき・無呼吸・口呼吸・滲出性中耳炎などの原因になります。
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とくに毎晩のいびきや無呼吸がある場合は早めに相談を。
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滲出性中耳炎に対するアデノイド手術の考え方は
「4歳未満は慎重、4歳以上はチューブと併用を検討」が基本です。
参考文献
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日本呼吸器学会(監修). 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020. 南江堂. 2020.
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日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会. 小児滲出性中耳炎診療ガイドライン 2022年版 第2版. 金原出版. 2022.
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