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保湿剤は月にどのぐらい使うのが適切か?

2021.01.23

 

かなり寒くなってきて肌の乾燥が目立つ季節が続きますね☃️

 

今回は、保湿剤の適切な量についてご説明したいと思います。

というのも、日頃診療していて、

保湿剤の塗る量が明らかに足りていない方(特にお子さん)が多い!

と思うことがしばしばあるわけです😣

 

 

実は、推奨されている塗り方を全身に毎日行うと、保湿剤の使用量は

みなさんが想像しているよりもずっと多くなります。

 

 

最近、ルドイドが美容目的に使用されるケースが問題視され、大量に処方することは難しいのですが、

乾燥して痒みを伴っている方(皮脂欠乏性湿疹やアトピー性皮膚炎)の治療は、やはり保湿が基本のキです👍

 

 

保湿剤を全身に塗った場合、一ヶ月でどれぐらい消費すると思いますか?

 

 

当院でよく処方する保湿剤といえば、ヒルドイドとワセリンです。

ヒルドイドはヘパリン類似物質という一般名でも知られ、ジェネリックで調剤してもらっている方はこちらのほうが馴染み深い名前かも知れません。

 

 

 

ジェネリックも含めると本当にたくさんの種類がありますが、

大きく分けると

・軟膏およびクリーム

・ローション

・泡タイプ

の3タイプがあります。

 

ここで大事なのは、基本的な使い方は上記3タイプさえ覚えておけばOK!ということです。

 

それぞれの適切な一回使用量は、以下の図をご参照ください😉

 

 

軟膏やクリームは人差し指の先端から第一関節までの分(1FTU)で、手のひら2枚分の面積が塗れるとされています。

ローションでは1円玉大=1FTU=手のひら2枚分

フォームは製品のキャップ大=2FTU=手のひら4枚分の面積に塗り拡げると適切です。

 

 

ただし、実際は毎日塗る際にこれを意識するのはなかなか大変なので、一度この塗り方でやってみて、

ベタつき具合など感覚を覚えればいいと思います。

もっと簡単に説明する方法として、ティッシュがしっかりくっつく位を目安に塗ってください

説明することもあります。

 

 

ここでもう一点大事なのは、ステロイド等の軟膏も、このルールで塗るのが適切な使い方という点です!🤔

(※ニキビ用のデュアックなど、ごく一部例外もあります)

 

軟膏は薄く塗っては十分な効果が得られません。

まずはそれぞれのお薬の適切な使用量を覚えてください。

 

 

では、この塗り方で全身を保湿した場合、ひと月でどのぐらい消費すると思いますか・・・?

 

 

 

この表によると、1-2歳の子でも1日1回塗布で50g/週=200g/月使用することがわかります。

一般的に、保湿剤は1日1回よりも1日2回の方が効果が高く推奨されています

  (参考:日本皮膚科学会ホームページ https://www.dermatol.or.jp/qa/qa39/q02.html)

1日3回塗ってもいいのですが、1日2回と効果はあまり差がないようです。

 

1日2回だと、未就学児でもひと月で約400g程度消費することになります!!

 

 

では、大人はどうでしょう?

 

 

 

なんと、大人は1日2回塗布の場合、ひと月で約1000gも使用する計算になります!!😅

 

 

 

これらのデータはヒルドイドを販売しているマルホの資料から引用しております。

(※当院とマルホに利益相反は一切ありません)

 

 

ここで一部の方は、病院は保湿剤を一杯処方したいからこのようなことを言うのだろうと

思われるかも知れません。

しかし実際は、院外処方の場合薬の量を増やしても病院にいい事はなく、

(※何を処方しても処方せん料しか請求できないからです)

むしろ一回処方量を少なくして、頻繁に病院に来てもらった方が経営的にはありがたいのです。

 

 

つまり一度にたくさん処方すると病院経営的には不利益なのですが、

適切な保湿剤の量というのは上記の通り決まっています。

特に痒みをともなう湿疹ができやすい乾燥肌のお子さんは、決められた量の保湿剤を

毎日塗りつづけることが何よりも大切です!

当院に通う乾燥肌のお子さんには、是非毎日朝晩の肌ケアを継続していただきたいです。

 

 

一回に処方できる量は、保険診療上明文化されているわけではなく、また県によっても違うようです。

(このあたりの仕組みは医者ながら本当に意味がわかりません。なぜ全国で統一しないのか?🤔)

実際に自分も過去にヒルドイドを大量に処方して返戻された経験があります。

(※レセプトが返戻されると、過剰と判断された薬剤料分が丸々病院負担となるため、赤字になります😭)

ですが、上記の塗り方は各学会でも一般的なものとして認知されているため、この範囲で処方する分には

現時点では問題にはならないようです。

 

 

保湿剤を使用するメリットはまた別の機会にご紹介しますが、

簡単に言うと肌荒れがない状態を保つことで将来さまざまなアレルギー疾患を発症するリスクを減らせます。

また保湿して肌の乾燥を防ぐことで、炎症のない状態を保ちやすくなり、将来の肌質改善に繋がります。

 

 

保湿剤を毎日朝晩塗ってあげることが、

お子さんの将来に対する何にも代えがたいプレゼントなのです。

 

今回のお話を是非日々の肌ケアに取り入れていただければ幸いです😌