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AGA治療について

AGA(男性型脱毛症)とは?

AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモン(ジヒドロテストステロン:DHT)の作用によって毛髪の成長期が短縮し、髪が細く短くなり、最終的に脱毛が進行する疾患です。
通常、毛の成長期は2〜6年ですが、AGAではこの期間が短縮し、薄毛を引き起こします。
30代で約20%、50代で約40%がAGAであると言われており、年齢とともに増加する傾向があります。

板見智先生監修 抜け毛・薄毛が気になる人へ -AGAを知ろう- より

AGA治療薬について

AGA(男性型脱毛症)は、進行性の脱毛症ですが、適切な薬を継続して使用することで進行を抑え、発毛を促すことができます。現在使用される代表的な治療薬は以下の4つです。それぞれの特徴を理解し、ご自身に合った治療を選びましょう。

1. フィナステリド(先発品名:プロペシア)

アメリカのメルク社が開発し、世界60カ国以上で使用されている経口AGA治療薬のパイオニアです。日本では2005年12月に厚労省の承認を得て発売されました。2015年以降はジェネリックタイプも登場しました。

  • 男性ホルモン(DHT)を抑える薬で、抜け毛の進行を止めることに特化しています。
  • 20〜40代の初期〜中等度のAGAに向いています。
主な副作用:
  • 性欲の低下、勃起障害(1〜2%)

いずれもプラセボと比較して差がないとする研究もあります。

  • まれに抑うつや乳房の違和感など

※当院では、厚労省に認可された国内正規品を取り扱っております。

2. デュタステリド(先発品名:ザガーロ)

フィナステリドと同じく5α-還元酵素を阻害しますが、より広範な作用型(Ⅰ型+Ⅱ型)に対応しており、フィナステリドよりもおよそ30%高い効果が期待されます。日本では2015年9月にAGA適応として承認されています。

  • より進行したAGAや、効果を早く実感したい方に適しています。
  • PSA(前立腺マーカー)を低下させるため、検査の際は医師に申し出る必要があります。
主な副作用:
  • 性機能障害(3〜5%)、精液量の減少
  • 乳房の違和感、まれに抑うつ

※当院では、厚労省に認可された国内正規品を取り扱っております。

3. ミノキシジル外用

もともとは高血圧の治療薬として開発されていた薬です。
血管拡張作用と毛母細胞刺激作用により、毛の成長期を延長します。

  • 頭皮に直接塗ることで血流を改善し、発毛を促します。
  • 副作用が比較的少なく、初めての治療にも適しています。
  • 5%外用薬で48週使用の場合、有効率約62%との報告があります。

4. ミノキシジル内服

従来は外用薬として使用されていましたが、近年では内服薬(飲み薬)も選択肢として注目されています。
ただし、ミノキシジル内服は日本ではAGAに対する承認がありません。そのため、当院でも海外製薬会社から輸入したものを取り扱っております。
高い発毛効果があり、進行したAGAや他のお薬で効果が認められない方にも有効性が期待できます

一方、副作用についても正しく理解いただくことが重要です。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」では、国内のデータ不足と副作用の懸念から推奨度D(推奨しない)となっています。
しかし、その後海外を中心に安全性に関するデータが蓄積され、低用量(2.5〜5mg)なら重篤な副作用を避け、安全に使用することができるという知見が増えています。

主な副作用とその理由
副作用 発生頻度 起きる理由・メカニズム
多毛症(顔・四肢など) 約15〜51% 血流改善により体毛の成長も促されます
浮腫(下肢・顔面) 約2〜7% 血管拡張による毛細血管の透過性亢進と体液貯留
頻脈・動悸 約1〜5% 血圧低下への反射で交感神経が刺激され心拍数が増加
起立性低血圧 約1〜3% 血管拡張により血圧が下がりやすくなります
頭痛・倦怠感 1%未満 血圧変動や薬剤の影響による一過性の症状
初期脱毛 約10〜30% 使用開始後 2〜6週間頃 1〜4週間程度持続する

※副作用は用量に比例して発生しやすくなります。低用量(2.5mg程度)からの開始が推奨されます。
※心嚢液貯留などの重篤な副作用は10〜40mg使用した場合にみられることが知られています。
発毛効果は2.5-5mgで認められるため、当院ではこの量で処方しております。
心疾患・腎疾患などの持病がある方には使用できません。

各治療法の比較まとめ

項目 フィナステリド デュタステリド ミノキシジル内服 ミノキシジル外用
主な作用 DHTを抑制 DHTをより強力に抑制 血流改善で発毛促進 血流改善で発毛促進
効果の特徴 抜け毛予防 抜け毛+発毛効果 発毛重視(太く増やす) 発毛効果(穏やか)
効果実感まで 6〜12ヶ月 3〜6ヶ月 1〜3ヶ月 3〜6ヶ月
性機能への影響 稀(1〜2%) やや多め(3〜5%) なし なし
その他副作用 抑うつ、乳房の違和感 同左 多毛、むくみ、頻脈など 頭皮のかゆみ、初期脱毛
日本での承認 ✅ 承認済み ✅ 承認済み ❌ 承認なし ✅ 承認済み・市販あり
向いている方 軽度〜中等度の方 進行したAGAの方 発毛重視・全体的な改善希望 副作用を避けたい方
治療選択のポイント
  • 「抜け毛を止めたい」方には: フィナステリド or デュタステリド
  • 「髪を増やしたい・太くしたい」方には: デュタステリド、ミノキシジル内服
  • 「副作用が心配」な方には: ミノキシジル外用をまず試すのがおすすめです

複数の薬を組み合わせて使用することで相乗効果が期待できます

(例:副作用が少ない組み合わせ…フィナステリド+ミノキシジル外用、
   治療効果が高い組み合わせ…デュタステリド+ミノキシジル内服+ミノキシジル外用

よくあるご質問

 

Q. 誰でも服用できますか?

A. 20歳~65歳の男性の方を対象とさせていただいております。

Q. どのくらいで効果がでますか?必ず効果がでますか?

A. ほとんどの患者さんで、3~6ヶ月で発毛(改善)の兆候が見られます。少なくとも6ヶ月は治療を続けてみてください。効果には個人差があります。

Q. 薬はいつ飲めばいいですか?

A. どのタイミングで飲まれても構いません。習慣化するために決まった時間に服用していただくことをお勧めします。

Q. 飲み忘れた場合はどうしたらいいですか?

A. 飲み忘れた場合でも2日分の内服はしないでください。

Q. いつまで継続しなければいけませんか?

A. 薬の作用によって発毛効果が出ています。投薬中止後はDHTの作用が再び強まり、数か月〜1年で元の状態に戻る可能性があります。ある程度発毛した後にプロペシアの内服に切り替えると、維持出来る可能性はあります。

Q. 治療を始めたら抜け毛が増えたような気がするのですが?

A. 服用開始2~8週後に脱毛が増えたように感じる場合があります(初期脱毛)。その後は脱毛がおさまって来ますので、ご安心ください。

Q. 献血はできますか?

A. プロペシア(フィナステリド)の内服終了後1ヶ月間は献血ができません。、ザガーロ(デュタステリド)は内服終了後6ヶ月間は献血ができません。

 

予約方法

  1. 予約ページより、「予防接種・乳児健診・自費診療」を選択。
  2. メニューより、「AGA」を選択し、希望日時をご予約ください。

価格表

※すべて税込み、初再診料込み

プロペシア 9,900円 28錠
フィナステリド(プロペシア後発品) 7,700円 28錠
ザガーロ 11,000円 30錠
デュタステリド(ザガーロ後発品) 8,800円 30錠
ミノキシジルタブレット(内服) 8,800円 30錠
5%ミノキシジル外用 6,600円 1本

参考文献

  1. Ramos PM et al. Low-dose oral minoxidil for hair loss: A systematic review. J Am Acad Dermatol. 2020
  2. Vañó-Galván S et al. Safety of low-dose oral minoxidil: A multicenter study of 1,404 patients. J Am Acad Dermatol. 2021
  3. Kaufman KD et al. Finasteride in the treatment of men with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 1998 Oct;39(4 Pt 1):578–589.
  4. Gubelin Harcha W et al. A randomized, active- and placebo-controlled study of the efficacy and safety of different doses of dutasteride versus placebo and finasteride in the treatment of male subjects with androgenetic alopecia.J Am Acad Dermatol. 2014;70(3):489–498.e3.
  5. Estill MC et al. Finasteride and Dutasteride for the Treatment of Male Androgenetic Alopecia: A Review of Efficacy and Reproductive Adverse Effect.Georgetown Medical Review. 2023;7(1). doi:10.52504/​001c.88531

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