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パッチテスト(貼付試験)

パッチテストとは?

パッチテストは、かぶれ(接触皮膚炎)や金属アレルギー、遅延型薬疹などの「遅延型(IV型)アレルギー」の原因物質(アレルゲン)を特定する検査です。疑わしい物質を背中(または上腕)に貼り、48時間閉鎖した後に反応を判定し、さらに72〜96時間後1週間後に遅れて出る反応も確認します。判定は国際基準(ICDRG)に沿って行います。

 

対象になる症状・疾患

  • アレルギー性接触皮膚炎(化粧品・金属・ゴム・樹脂・香料・保存料など)
  • 金属アレルギー(歯科金属やアクセサリーなど)
  • 遅延型アレルギーによる薬疹
  • 難治性湿疹・皮膚炎で原因検索が必要な場合

いずれの年齢でも実施可能ですが、妊娠・授乳中は原則として行いません

 

検査の流れ(来院は原則4回)

  1. 初診・計画
    問診で原因が疑われる製品や職業・生活歴を確認し、検査項目を決めます。必要に応じて患者さんが使用中の製品を持参いただくこともあります。
    ※当院では原則的にパッチテストパネルを用いたパッチテストを行っております。個別の製品のパッチテストが必要なかたは、基幹病院をご紹介いたします。
  2. Day 0:貼付
    標準のパッチテストパネル®(S)(22項目の代表的アレルゲン)や、金属パネル、持参製品を用いて背部に貼付します。
  3. Day 2(48時間後):1回目判定
    パネルをはがし、1時間後に紅斑・丘疹・小水疱などを評価します(ICDRG基準)。
  4. Day 3–4(72〜96時間後):2回目判定Day 7:3回目判定
    遅れて出る反応を確認し、最終的に陽性かどうかを決めます。

貼付中の過ごし方

貼付部位がはがれない・ずれない・強く擦れないようにしてください。1回目の判定まで激しい運動や入浴・サウナなど、過度の発汗・摩擦は可能な限り避けましょう。検査部位は水に濡れないようにしてください。

何を検査しますか?

  • 標準パネル(22項目):ニッケル、コバルト、クロム、ラノリン、香料ミックス、ロジン、パラベン、ペルーバルサム、パラフェニレンジアミン(毛染め)、ホルムアルデヒド、ゴム関連(チウラム等)、イソチアゾリノン系保存料、抗生物質(ネオマイシン)など。
  • 金属パネル(歯科金属を含む16種):ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、金、白金、銀、銅、亜鉛、スズ、マンガン、鉄、インジウム、イリジウム、水銀などを必要に応じ選択。
  • 持参製品テスト:実際に使っている化粧品・外用薬・洗剤・ゴム手袋・香水・湿布などを用いた評価が可能です。洗い流す製品(シャンプー等)は1%水溶液に調整して貼付します(噴霧・香水など揮発性はオープンテストで評価)。

※持参製品テストが必要な方は基幹病院をご紹介いたします。

光パッチテスト・連続塗布試験(ROAT)

  • 光パッチテスト:光(UVA 5 J/cm²)が関与する疑いがある場合、片側にUVAを照射して48h/72h/1週で左右差を判定します。
  • ROAT:通常の貼付で反応が弱い/臨床に即した評価が必要な場合、前腕や上腕に1日2回・最長14日間、5×5cm範囲に日常使用量を塗布し、紅斑や浸潤の有無をみます。

※光パッチテストが必要な方は基幹病院をご紹介いたします。

実施前に確認したいこと(内服・外用・皮膚状態)

  • 全身ステロイドプレドニゾロン20 mg/日以上の内服中は原則実施しません
  • 抗ヒスタミン薬・免疫抑制薬:影響に関する十分なデータはありません。治療上の必要が高い場合は、担当医が継続可否を判断します。
  • 貼付部位の外用貼付予定部位へのステロイド外用は1週間前から中止、検査中も使用を避けます。保湿剤は検査当日から中止します。強い日焼けは4週間前から回避してください。

検査の限界と起こり得ること

  • 偽陽性/偽陰性:テープ刺激、エッジ効果・圧迫効果(パッチテストユニットによる物理的刺激)、周辺のexcited skin syndrome などで判定が難しい場合があります。
  • 副作用:刺激反応、色素沈着・脱失、既存皮疹の再燃、まれに感染やアナフィラキシー(ラテックス・一部薬剤)があります。いずれも稀ですが、異常を感じたらすぐにご連絡ください。

よくある質問

Q. 実施可能日は?

A. 皮膚科で行っている検査です。検査のスケジュール上、火曜日・木曜日・土曜日の午前に行うことができます。

Q. 痛みはありますか?

A. 注射ではなく「貼る検査」です。ヒリヒリ感や痒みを自覚することはあります(強い場合はご連絡ください)。

Q. 子どもでも受けられますか?

A. 可能です。ただし就学児以上のほうが判定の再来受診や管理がしやすい傾向があります(個別にご相談ください)。

Q. 職場で汗をかきます。検査はできますか?

A. 可能ですが、貼付中の強い発汗や擦れはずれの原因になります。

Q. 費用は?

A. 保険診療の対象となる疾患では健康保険で算定します。項目数や内容で自己負担額が変わります。

参考文献:

  1. 日本アレルギー学会『皮膚テストの手引き2025』

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