子どもの内分泌疾患って何?
2023.09.06
<目次>
Q.内分泌とは何ですか?
Q.内分泌系が関わるホルモンにはどんなものがあるの?
Q.内分泌系が関わる病気にはどんなものがありますか?
Q.どんな症状があると内分泌疾患のサインですか?
Q.内分泌疾患のサインがあると、内分泌疾患があると判断してよいですか?
Q.内分泌とは何ですか?
内分泌とは、一言でいうと細胞や臓器から血液などにホルモンが分泌されることです。唾液や汗など身体の外に排出するために分泌されるものを外分泌と言い、内分泌と区別されます。ホルモンは全身の様々な臓器で作られており、体の機能を調整する働きがあるだけでなく、発達発育にも関わることが分かっています。ホルモンをつくって分泌する働きをする腺や器官の集まりを内分泌系と呼び、内分泌が関わる病気を内分泌疾患と呼びます。
Q.内分泌系が関わるホルモンにはどんなものがあるの?
内分泌が関わるホルモンは100種類以上あると言われていますが、一般的によく知られるもので言うと、膵臓から分泌されるインスリンや脳の下垂体から分泌される成長ホルモン、副腎から分泌されるアドレナリンなどがあります。それぞれ、インスリンは血糖値をコントロールする働き、成長ホルモンは発達発育を促進する働き、アドレナリンはストレスに対する反応を調整する働きがあります。その他にも多くのホルモンがあり、「ホルモンバランスが崩れて調子が悪い」と言うように、私たちの体はホルモンの分泌によって健康バランスを保ったり、発達発育を支えたりしています。
Q.内分泌系が関わる病気にはどんなものがありますか?
内分泌系が関わる病気は、大きく分けるとホルモン分泌が多すぎる「機能亢進」と、ホルモン分泌が少なすぎる「機能低下」があります。ホルモン分泌を行う器官の分泌腺に異常がある場合や、ホルモンを分泌するように指令を出す視床下部-下垂体系からの刺激が過剰または過少の場合に内分泌系の異常が見られます。
内分泌系がかかわる主な病気としては、子どもでは
・低身長
・肥満症
・思春期早発症
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
・甲状腺機能低下症(橋本病)
などが挙げられます。
大人の場合には、
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
・甲状腺機能低下症(橋本病)
・クッシング病
・アジソン病
・先端巨大症
・糖尿病
などがあります。
Q.どんな症状があると内分泌疾患のサインですか?
内分泌疾患は、風邪のような病気とは異なり、病気になったからと言ってすぐにわかるものではありません。お子さんの日頃の様子や発達発育状況を注意深く見ることが大切です。子どもに見られることの多い内分泌疾患のサインには以下が挙げられます。
・低身長
・高身長
・急激な体重減少
・急激な体重増加
・多飲、多尿・おねしょ
・肥満、メタボリックシンドローム
・学校検尿で尿糖陽性
・思春期早発(乳腺腫大、陰毛、性器出血)
・思春期遅発(生理が出現しない)
・多毛
・甲状腺が腫れている
・男子の場合、外性器の形が他のこどもと違う、小陰茎、尿道下裂など
・新生児マススクリーニングで精密検査が必要と言われた
・骨折しやすい・骨折が治りにくい、骨の変形(O脚、X脚など)
Q.内分泌疾患のサインがあると、内分泌疾患があると判断してよいですか?
内分泌疾患のサインがあったとしても、栄養状態や遺伝的要因、生活環境など内分泌以外の要因が影響していることはよくあります。兆候が見られたとしても、別の要因を改善することで改善することもあるほか、お子さんの成長が単に早いだけの場合もあります。兆候があるからと言って、気にしすぎることはありませんが、心配な場合はお気軽にご相談ください。