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2023年4月から新しい子宮頸がんワクチンが定期接種に加わりました

2023.05.08

2023年4月から子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の9価ワクチンが定期接種として公費で接種できるようになりました。これにより、子宮頸がんを予防するHPVワクチンは、2価、4価、9価の3種類が定期接種の対象となります。

HPVワクチンはヒトパピローマウイルス(HPV:Human papillomavirus)が原因となる病気の発症や重症化を予防する効果のあるワクチンです。子宮頸がんはヒトパピローマウイルスへの感染によって発症するリスクのある病気で、日本でも年間約3000人が命を落とす病気です。今回定期接種に追加された9価ワクチンとこれまでの2価、4価ワクチンの違いを知って、より積極的に接種いただければ幸いです。

Q.9価ワクチンは今までのワクチンと何が違うの?

A.9価、2価、4価に共通する「価」とは、ワクチンに含まれるウイルスの種類の数を意味しています。9価ワクチンはワクチンに含まれるウイルスが9種類あることを表しており、2価(2種類)、4価(4種類)ワクチンに比べてより多くの種類のウイルスに対して予防効果が期待できます。

Q.ワクチンに含まれるウイルスの種類が多いと何がいいの?

A.ワクチンに含まれるウイルスの種類が多い分、その種類のウイルスによる病気の予防の効果が得られることが良い点です。実はヒトパピローマウイルスと一言で言っても、100種類以上のウイルスの型があり、子宮頸がんの原因となるのは少なくとも15種類以上あるといわれています。9価ワクチンでもすべてをカバーできる訳ではありませんが、ヒトパピローマウイルスの種類が多いため、少しでも多くのウイルスの型に効果を発揮してくれることで、子宮頸がんの予防につながりやすくなります。

Q.9価ワクチンと今までのワクチンは効果が違うの?

A.従来の2価/4価ワクチンが子宮頸がんの60-70%を予防するのに対し、9価ワクチンは80-90%を予防できると報告されています。

Q.9価ワクチンの接種後の副反応はどんなものがありますか?

A.9価ワクチンを接種した後に、下記のような副反応が起こることがあります。

【発生頻度】       副反応

【50%以上】 痛み・疼痛

【10~50%】腫れ・腫脹・肌の赤み・紅斑・頭痛

【1~10%】体がふわふわする感覚(浮動性めまい)・悪心・下痢・かゆみ・発熱・体がだるい・内出血など

【ごく稀】感覚鈍麻(刺激に対して感覚が鈍い)・失神・四肢の痛みなど

接種後に体調の変化や気になる症状があれば、医師に相談するようにしてください。接種した後は、基本的に院内で30分待機いただきます。

Q.9価ワクチンの費用は?

A.9価ワクチンは他のワクチン(2価・4価)と同様に定期接種の対象となったため、公費で接種できるため対象の年齢であれば、窓口での費用は掛かりません。公費の対象となるのは、小学校6年生~高校1年生の女性です。なお、令和7年3月末までは平成9年度生まれ~平成18年度生まれの女性で、HPVワクチンを接種していない方も公費での接種対象となっています。

Q.子宮頸がんワクチンはいつから接種すればいいの?

A.子宮頸がんワクチンは、1回目の接種から2~3回の接種があり、終了まで6か月はかかります。性感染症であり、早めの接種がおすすめです。小学校6年生〜中学校1年生になったら接種を検討しましょう。

Q.9価ワクチンの接種時期は他とは違うの?

A.9価ワクチンの接種時期は2価、4価ワクチンと同じで、小学校6年生~高校1年生の間に公費接種の対象となります。接種完了までに、全部で2~3回接種が推奨されており、接種間隔も空けなければならないため、1回目接種から最短で6か月かかります。期間が空くために忘れずに接種することや1回目接種が遅いと、公費の対象から外れてしまうので接種を希望する場合は早めに医療機関に相談するようにしましょう。

Q.子宮頸がんの9価ワクチンは何回接種するの?

A.9価ワクチンの場合は、(1)15歳になる前に1回目の接種を受ける場合と(2)15歳になってから1回目の接種を受ける場合で、接種回数が異なります。(1)15歳になるまでに1回目接種をした場合は、全部で2回接種します。(2)15歳になってから1回目接種をした場合は全部で3回接種します。

Q.2価や4価ワクチンを受けたことがありますが、9価ワクチンを打ったほうがいいですか?

A.2価、4価ワクチンいずれの場合も3回接種完了している場合は、追加で接種する必要はありません。また、2価、4価ワクチンを1~2回接種している場合、原則として同じ種類のワクチン接種が推奨されています。

Q.2~3回の接種の中でワクチンの種類を変えることはできますか?

A.同じ種類のワクチンを接種することが原則推奨されています。2価、4価ワクチンを1~2回接種している場合で、途中で9価ワクチンに変更する方法は、データが限られており現時点では推奨されておりません。

参考:日本産科婦人科学会 https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4