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子どもの肥満は増えている?

2024.11.12

●近年増えている子どもの肥満

子どもを取り巻く環境の変化として、日本では1970年代後半から2000年代にかけて食生活、ライフスタイルの変化によって子どもの肥満の割合が増加してきました。また、2016年からも引き続き増加傾向にあり、2020年では11歳の男の子で13%、女の子で9%程が、肥満傾向があると言われています。

食生活の変化について詳しく言うと、お惣菜や弁当、ファストフード、スナック菓子、チョコレートなど高カロリーの食べ物が手に入りやすくなったことなどが挙げられます。また、ライフスタイルでは、公園や運動場など外で体を動かして遊ぶことが中心だった状況から、テレビゲームやカードゲーム、Youtubeなど家の中で楽しく過ごすことが増えてきた状況があります。大人の場合も同じですが、こうした変化によって、子どもも肥満が増えています。

●子どもの肥満は何で判断するの?

子どもの肥満は大人とは異なり、本人の体重と標準体重から肥満度を計算して評価していきます。肥満度は身長や性別、年齢別に設定された標準体重に対して、本人の体重が何%上回っているかを示すもので、下の計算式で算出でき、年齢によって肥満度の評価は変わります。

肥満度=(実測体重-標準体重) / 標準体重×100 (%)

【幼児(幼稚園・保育園)】

・肥満度15%以上・・・太り気味

・肥満度20%以上・・・やや太り過ぎ

・肥満度30%以上・・・太り過ぎ

【学童(小学生)】

・肥満度20%以上・・・軽度肥満

・肥満度30%以上・・・中等度肥満

・肥満度50%以上・・・高度肥満

参考:日本小児内分泌学会

肥満度判定曲線

性別・年齢別・身長別標準体重

●なぜ子どもの肥満が起こるの?

子どもの肥満は、単純性肥満(原発性肥満)という摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることで起こることがほとんどです。簡単に言えば、ごはんやおやつ、ジュースなどから摂取するエネルギー(カロリー)が、体を動かすために必要なエネルギーよりも多くなり、余ったエネルギーが脂肪として体に蓄積されていく、ということです。ファミリーレストランやファストフード店が増え、外食がしやすくなっただけでなく、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの総菜や弁当のバリエーションも増えたことで高カロリーの食べ物が取りやすくなっています。外食や中食(弁当や総菜)自体が悪い、というわけではありませんが、自宅で作るよりも高カロリーになりやすく、一品だけだと栄養バランスも崩れやすいなるため注意が必要です。

●子どもの肥満は病気?

子どもの肥満のほとんどは単純性肥満と先ほどお伝えしましたが、一方で症候性肥満(二次性肥満)と呼ばれる肥満があります。症候性肥満は、低身長やクッシング症候群などの内分泌の病気や知的障害など別の病気が影響して肥満が現れるタイプの肥満です。

●子どもの肥満の対策は必要?

「今太っていても、成長するにつれて痩せていきますか?」と相談されることもありますが、肥満は子どものうちから解消していくことが大切です。子どもの時に肥満があると、成人になっても肥満になりやすいことが分かっており、幼児期肥満の25%、学童期肥満の40%、思春期肥満の70~80%が成人になっても肥満になっているという報告もあります。

また、肥満があることで子どものうちから動脈硬化や脂肪肝になりやすいほか、子どもでもいびきや睡眠時無呼吸症候群を起こしやすいとも言われています。これらの病気は勉強や部活動、遊びなど日常生活にも影響を及ぼすこともあります。例えば、睡眠時無呼吸症候群の場合には、睡眠の質が下がり朝起きても頭がボーっとしたり、頭痛を起こす、日中に突然眠気に襲われるなどの症状が見られ、勉強や部活動に集中できないなどの影響が現れます。

日常生活を楽しく過ごすためにも、肥満の対策は重要です。

●どんな時に相談すればよい?

上記でお伝えした、肥満度判定を計算して明らかに体重が多い場合や、体重の増加が続いている場合には医療機関に相談することをお勧めします。また、子どものメタボリックシンドロームの診断基準も定められており、下記の1)に該当する他、2~4)のいずれか2つに該当する場合には、治療を開始することをお勧めします。診断には採血が必要となるため、お子さんとしっかり話合いを行ってから医療機関に相談するようにしてください。

【子どものメタボリックシンドロームの診断基準(6~15歳)】

1)腹囲・・・80㎝以上(小学生の場合75㎝以上)

2)血性脂質・・・中性脂肪120㎎/dl以上 または HDLコレステロール40mg/dl未満

3)血圧・・・収縮期血圧125mmHg以上 または 拡張期血圧70mmHg以上

4)血糖値・・・空腹時血糖100㎎/dl以上

一度生活習慣が形成されると、大人でも改善することが難しく、子どもの場合は一層大変になるため、早めの対策・改善が重要です。気になることがあればお気軽にご相談ください。