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ナッツアレルギー(木の実アレルギー)

ナッツアレルギー(木の実アレルギー)は、少量でも症状が出ることがあり、時に強い反応を起こしうる食物アレルギーです。乳幼児期からみられますが、卵や牛乳、小麦と比べると自然に治る割合は低めで、慎重な診断と長期的なフォローが大切です。

現在の食物アレルギー診療では、とにかく完全除去ではなく、必要最小限の除去を基本とし、安全を確認しながら食べられる範囲を広げていくことが大切と考えられています。当院では、食物負荷試験などを活用しながら、安全を確認したうえで、食べられる形・量を見極め、継続摂取につなげていくことを大切にしています。園や学校での解除の目安としては、ナッツを一度に10g食べられることをひとつの目標にしています。

ナッツアレルギー(木の実アレルギー)の特徴と種類

ここでいうナッツアレルギーは、主に木の実(tree nuts)に対するアレルギーを指します。代表的な木の実には以下の種類があります。

分類 代表的な食品
木の実類 くるみ、カシューナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、ペカンナッツ、マカダミアナッツなど
マメ科 ピーナッツ(落花生)

ピーナッツは植物学的にはマメ科であり、木の実とは別の食品です。そのため、ピーナッツアレルギーと木の実アレルギーは分けて考える必要があります。

木の実アレルギーの原因となるたんぱく質は、種類ごとに異なります。たとえば、カシューナッツでは Ana o 3くるみでは Jug r 1 などが重要な成分として知られています。これらは診断の参考になることがありますが、血液検査だけで食べられるかどうかを決めきることはできません。

アナフィラキシーに注意が必要なナッツアレルギーの症状

ナッツアレルギーでは、次のような症状がみられます。

  • じんましん、赤み、かゆみ
  • 口の中やのどの違和感
  • 腹痛、吐き気、嘔吐
  • 咳、ゼーゼー、息苦しさ
  • 元気がない、ぐったりする
  • アナフィラキシー

症状の出方や強さはお子さんによって異なります。また、同じ食品・同じ量でも、体調不良や運動などで反応が出やすくなることがあります。ナッツ類は食物アレルギーによるアナフィラキシーの原因としても重要で、少量で症状が出る方もいるため注意が必要です。

ナッツアレルギーは治るのか?自然寛解の可能性

木の実アレルギーは、卵や牛乳に比べると自然に治る割合が低いとされています。研究報告によると、木の実アレルギーの自然寛解はおよそ10%前後とされており、治りにくい食物アレルギーとして位置づけられています。

日常診療でも、ナッツは定期的に食べ慣らしていかないと治りにくい食品と考えられます。そのため、食物負荷試験で安全に食べられる量が確認できた場合には、その後の継続摂取がとても重要になります。

次のような場合は、より慎重な評価が必要です。

  • 少量でも症状が強く出る
  • 反応した量が非常に少ない
  • ナッツ特異的IgEや成分特異的IgEが高い
  • アナフィラキシーの既往がある
  • 喘息などを合併している

ナッツアレルギーの診断プロセス

ナッツアレルギーの診断は、血液検査だけで確定するものではありません。 診断には、以下の3つのステップを組み合わせて考えます。

  1. 症状の確認
    実際に食べたときにどのような症状が出たかを詳しく伺います。
  2. 血液検査
    ナッツ特異的IgE検査や、必要に応じてさらに詳しい成分検査を行います。
  3. 食物負荷試験
    実際にどの木の実を、どのくらい食べられるかを判断するために実施します。

木の実アレルギーでは、感作されていることと、実際に食べて症状が出ることが一致しない場合があります。検査で陽性でも、必ずしもアレルギーとは限りません。そのため、実際に食べられる量を確認する食物負荷試験が重要です。

注意すべきナッツの交差反応

ナッツアレルギーでは、生物学的に近い木の実どうしで交差反応がみられることがあります。

くるみ ペカンナッツ
カシューナッツ ピスタチオ

ただし、ある木の主にアレルギーがあるからといって、すべての木の主に必ずアレルギーがあるわけではありません。検査で複数陽性でも、実際には食べられる木の実があることも少なくありません。食べられるものを個別に確認するかは、年齢や誤食リスク、生活環境を含めて相談して決めていきます。

調理法によるアレルゲン性の変化

ナッツアレルギーでは、卵のように加熱すれば食べやすくなるとは限りません。 木の実の主要アレルゲンの中には、熱や消化に強いものがあり、加熱後もアレルゲン性が保たれやすい性質があります。

そのため、「砕いてある」「焼いてある」「お菓子に入っている」といった理由で自己判断することは危険です。食べられる形や量は、個別に評価して確認する必要があります。

食物負荷試験と安全な継続摂取の進め方

現在の診療では、必要最小限の除去が基本です。すべてのナッツを長期間完全除去し続けるのではなく、安全を確認しながら食べられる範囲を広げていく考え方が重視されています。

食物負荷試験は、実際に食品を食べて安全性を確認する検査です。以下の判断にとても役立ちます。

  • どのナッツをどのくらい食べられるか
  • 交差反応のありそうな別のナッツはどうか
  • 継続摂取につなげられるか

当院では、これまでの摂取状況に応じて開始量を決め、1〜6か月ごとに負荷試験を行い、その間は週3回を目安に指示量を継続摂取していただく方針です。継続することで、次の段階へ進みやすくなることがあります。

最初は0.1gなどごく少量からはじめることもあるため、このような分包品をお渡しして、定期的に自宅で摂取いただく方法を採用しています。

ご家庭でナッツの摂取を進める際の注意点

食物負荷試験で「食べられる」と確認できた場合、その後に医師から指示された量を継続して食べることはとても大切です。解除後も完全除去には戻さず、最低でも週1回程度は摂取することを推奨します。ご家庭では以下の点に注意してください。

1. 増量の禁止 自己判断で急に量を増やさないでください。
2. 体調管理 発熱や喘息の悪化など、体調が悪い日は無理をしないでください。
3. 中止の判断 症状が出た場合は、その日の摂取を中止し、医療機関へ相談してください。
4. 食べ方の工夫 ジャムやチョコソースと一緒に摂ることで、粉末でも食べやすくなります。

乳幼児期におけるナッツアレルギーの予防

近年のガイドラインでは、離乳食開始後はアレルゲン食品の導入をむやみに遅らせないことが勧められています。木の実についても、なめらかなペースト状や粉末など、窒息しにくい形で1歳までに導入することが大切です。

丸ごとや砕いたナッツは、乳幼児では窒息の危険があるため絶対に与えないでください。特に湿疹が強い赤ちゃんや、別の食物アレルギーがある場合は、導入前に必ず医師へご相談ください。

食品表示の確認と注意すべき食品

木の実類のアレルギー表示は近年拡大しており、注意が必要です。

くるみ 特定原材料(義務表示)
カシューナッツ 特定原材料(2026年4月より義務化)
マカダミアナッツ 特定原材料に準ずるもの

加工食品を選ぶときは、原材料表示をよく確認しましょう。特にミックスナッツ、菓子類、ソース類などは表示だけでは分かりにくいこともあるため、外食時などは注意が必要です。

ナッツアレルギーに関するよくある質問

Q.ひとつのナッツにアレルギーがあれば、全部食べてはいけませんか?

必ずしもそうではありません。すべての木の主に一律にアレルギーがあるとは限りません。 個別に相談して、食べられるものを見極めていくことが大切です。

Q.加熱したり砕いたりすれば安全ですか?

いいえ、そうとは限りません。ナッツのアレルゲンは熱に強く、加熱しても症状が出ることがあります。

Q.いったん解除できたら、もう食べなくても大丈夫ですか?

ナッツは治りにくい食品であり、長く食べない期間が続くと再び反応する可能性があります。解除後も定期的に摂取を続けましょう。

まとめ

ナッツアレルギーは、少量でも強い症状が出ることがあり、自然に治りにくいのが特徴です。大切なのは、正しく診断し、食べられる形と量を見極めて継続することです。ナッツアレルギーについてお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。


参考文献

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