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卵アレルギー(鶏卵アレルギー)

卵アレルギーは、乳幼児期に最も多い食物アレルギーのひとつです。近年、食物アレルギーの考え方は大きく変わり、「とにかく完全除去」をするのではなく必要最小限の除去を基本とし、安全を確認しながら食べられる範囲を広げていくことが大切と考えられています。当院では、食物負荷試験などを活用しながら、安全を確認したうえで、お子さんごとの食べられる形・量を見極め、継続して摂取できるようサポートしています。

卵アレルギーの概要と主な原因

卵アレルギーは、卵を摂取したあとに皮膚、消化器、呼吸器などにアレルギー症状が出る状態を指します。多くはIgE依存性の即時型反応で、食べてから数分から2時間以内に症状が現れるのが特徴です。

原因となるのは主に卵白に含まれるたんぱく質で、代表的な成分には以下のものがあります。

オボムコイド 熱に比較的強く、しっかり加熱してもアレルゲン性が減りにくい成分です。
オボアルブミン 卵白に最も多く含まれる成分ですが、熱によってアレルゲン性が変化しやすい性質があります。

卵アレルギーで見られる主な症状

卵アレルギーでは、お子さんによってさまざまな症状が見られます。同じ食品や量であっても、その日の体調や運動、喘息の状態によって症状の出やすさが変わるため注意が必要です。

  • じんましん、肌の赤み、かゆみ
  • 口のまわりの腫れや赤み
  • 腹痛、吐き気、嘔吐、下痢
  • 咳、ゼーゼーする喘鳴、のどの違和感
  • ぐったりする、意識がぼーっとする
  • アナフィラキシー(重症の全身反応)

卵アレルギーの経過と自然寛解の見通し

卵アレルギーは、乳幼児期に発症しやすい一方で、成長とともに耐性を獲得しやすい(治りやすい)アレルギーでもあります。一般的には、6歳頃までに60~80%程度が自然に良くなると言われていますが、改善のペースには個人差があります。

ただし、以下のようなケースでは、より慎重な経過観察と専門的な評価が必要です。

  • 少量でも強い症状が出る場合
  • 加熱した卵でも症状が出る場合
  • オボムコイドの数値が非常に高い場合
  • 過去にアナフィラキシーを起こしたことがある場合
  • 喘息などの合併症がある場合

卵アレルギーの診断と検査の手順

卵アレルギーの診断は、血液検査の結果だけで決まるものではありません。当院では、以下の手順を組み合わせて総合的に診断を行います。

  1. 症状の確認
    実際に食べたときに「どのような症状が」「いつ」「どのくらい」出たかを詳しく確認します。
  2. 血液検査の実施
    卵白やオボムコイドに対する特異的IgE抗体価を調べ、診断の参考にします。
  3. 食物負荷試験
    必要に応じて、実際に病院で少量の卵を食べてみて、安全に食べられる量を確認します。

特に、どの形の卵をどれくらい食べられるかを正確に判断するためには、専門医による食物負荷試験が非常に重要な役割を果たします。

調理法によるアレルゲン性の変化

卵は、調理方法によってアレルゲン(アレルギーを引き起こす力)が大きく変化します。一般的には、加熱時間が長く、温度が高いほどアレルゲン性は低下します。

反応が出やすいもの(アレルゲン性が高い)

  • 生卵、温泉卵
  • 半熟卵(オムレツ、目玉焼きの半熟部分など)
  • かき玉汁や茶碗蒸し(加熱が不十分になりやすいもの)

比較的食べられる可能性があるもの

  • 20分以上しっかり茹でたゆで卵
  • ホットケーキ、クッキー、スポンジケーキなどの焼き菓子
  • ハンバーグやフライのつなぎ

最近の研究では、小麦など他の食材と一緒に加熱するフードマトリックス効果により、卵単独での加熱よりもさらにアレルゲン性が低下することが分かっています。そのため、どの調理形態なら安全かを正しく評価することが大切です。

治療の基本:必要最小限の除去と継続摂取

現在の治療方針は、完全に除去し続けることではなく、今食べられる範囲を安全に食べ続けることにあります。園や学校での制限解除に向けた目標として、まずは十分に加熱した全卵1個とマヨネーズが問題なく食べられることを目指します。

ただし、加熱卵が食べられるようになった後でも、プリンや生卵などは別段階の評価が必要となるため、ステップアップは慎重に行います。

食物負荷試験の役割

食物負荷試験は、不要な除去を避けるために不可欠な検査です。血液検査の数値が高いお子さんでも、しっかり加熱した卵であれば少量から食べられるケースは少なくありません。試験を通じて、次に進むべき具体的なステップを決定します。

家庭で進める際の4つの注意点

ご家庭で卵の摂取を進める際は、以下のポイントを必ず守ってください。

  1. 自己判断で量を増やさない
    前回大丈夫だったからといって急に増量するのは危険です。医師の指示した量を守りましょう。
  2. 体調が良い日に実施する
    風邪気味のときや寝不足のときは症状が出やすいため、無理に摂取させないでください。
  3. 症状が出たらすぐに中止する
    万が一、じんましんなどの症状が出た場合は、その日の摂取を中止して医師に相談してください。
  4. 食べ方を工夫する
    卵そのものが苦手な場合は、カレーに混ぜたり、ホットケーキのつなぎとして利用したりして、お子さんが食べやすい工夫をしてみましょう。

卵アレルギーの予防と早期導入

近年の研究(PETIT試験など)により、湿疹がある乳児に対して皮膚の治療を並行しながら、生後6ヶ月頃から微量の加熱卵を導入することで、卵アレルギーの発症を大幅に抑えられることが分かってきました。むやみに卵の開始を遅らせることは推奨されません。ただし、アレルギーのリスクが高い場合は、必ず医師の指導のもとで開始してください。

食品表示の確認方法

卵は、加工食品において特定原材料として表示が義務づけられています。市販品を購入する際は必ず原材料欄を確認しましょう。外食や中食(お惣菜など)では表示が不十分な場合もあるため、必要に応じてお店に確認することをお勧めします。

よくある質問

卵黄なら大丈夫ですか? 卵黄は卵白に比べてアレルゲン性が低いですが、卵白が混入している可能性があるため、自己判断での摂取は避けてください。
血液検査が高いと一生食べられませんか? いいえ。数値が高くても加熱卵なら食べられるお子さんは多いですし、成長とともに数値が下がり、克服できるケースが大半です。
焼き菓子なら食べられるのはなぜですか? 高温で長時間加熱されることや、小麦粉と一緒に焼くことで、卵のたんぱく質の構造が変化し、反応しにくくなるためです。

まとめ

卵アレルギーは、正しい診断と適切なステップアップによって、多くのお子さんが克服できるアレルギーです。大切なのは、「正しく診断し、食べられる形と量を見極め、安全に継続すること」です。お子さんの卵アレルギーでお困りのことや、園・学校での対応について不安がある方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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