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新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2というウイルスによって起こる感染症です。現在も国内で流行の波を繰り返しており、厚生労働省と国立健康危機管理研究機構(JIHS)は、2026年も定点報告や入院サーベイランスを継続しています。

症状は、発熱、のどの痛み、咳、鼻水、頭痛、全身のだるさなどのかぜ症状が中心ですが、年齢や基礎疾患の有無によって重症度は大きく異なります。厚生労働省は、高齢者や基礎疾患のある方では重症化リスクが高いとしており、CDCも高リスク者では早期治療の重要性を強調しています。

新型コロナウイルスの主な感染経路と予防策

主な感染経路は、飛沫感染エアロゾルを含む呼吸器経路での感染です。厚生労働省は、感染対策として手洗い、マスクを含む咳エチケット、換気が有効であると案内しています。特に高齢者と会う場面、通院時、人が多い場所では、こうした基本的対策が大切です。

また、厚生労働省の後遺症Q&Aでは、一般に発症2日前から発症後7~10日程度はウイルスを排出しているとされています。症状が軽くても周囲へうつすことがあるため、発症早期は家庭内や職場・学校での感染拡大に注意が必要です。

代表的な症状と長引く罹患後症状(後遺症)

代表的な症状は、発熱、咳、咽頭痛、鼻汁、頭痛、倦怠感などです。厚生労働省の保育所向け感染対策ガイドラインでも、インフルエンザ様の発熱や呼吸器症状、頭痛、倦怠感が多いとされています。

一方で、症状の出方には幅があり、熱が目立たない例や、胃腸症状が前面に出る例もあります。回復後も、咳やだるさ、集中しづらさ、嗅覚・味覚の異常などが長引くことがあり、厚生労働省はこれらを罹患後症状として案内しています。代表的な罹患後症状には、以下のものがあります。

  • 疲労感、咳、息切れ、胸痛
  • 頭痛、集中力低下、記憶障害、睡眠障害
  • 嗅覚障害、味覚障害
  • 動悸、腹痛

成人の重症化リスク因子と内科外来での注意点

成人では、とくに高齢者、心疾患、肺疾患、糖尿病、腎疾患、免疫不全などのある方で重症化しやすく、厚生労働省も高齢者や基礎疾患のある方を重症化リスクが高い集団として位置づけています。こうした方では、軽いかぜ症状に見えても、数日遅れて肺炎や低酸素血症が目立ってくることがあります。

内科外来で特に意識したいのは、息苦しさ、酸素化低下、食事や水分がとれない、基礎疾患の悪化です。高齢者では典型的な高熱が出ず、食欲低下、活動性低下、せん妄などが前景に出ることもあるため、単なる風邪っぽさだけで判断しないことが重要です。重症例では、低酸素性呼吸不全、ARDS、敗血症性ショック、腎障害、肝障害、血栓症などへの対応が必要になることがあります。

子どもの症状の特徴と合併症「MIS-C」について

小児は成人に比べて無症状または軽症で経過することが多いとされています。厚生労働省の保育所向けガイドラインでも、小児は成人より症例数が少なく、感染しても多くが無症状・軽症で経過すると記載されています。

ただし、乳児、基礎疾患のあるお子さん、医療的ケア児では注意が必要です。子どもでは、発熱や上気道炎症状のほか、哺乳低下、脱水、喘鳴、けいれんなどで受診につながることがあります。重症例では、低酸素性呼吸不全、ARDS、ショック、心機能障害、血栓症、肝腎障害、中枢神経症状などへの対応が必要になることがあります。

小児で特に知っておきたいのが、MIS-C(小児多系統炎症性症候群)です。CDCによると、MIS-Cはまれですが重篤な合併症で、COVID-19感染の数週間後に発症することがあり、心臓、肺、腎臓、脳、皮膚、眼、消化管など多臓器に炎症を起こしえます。発熱が長引く、強い腹痛、嘔吐、発疹、目の充血などの症状がある場合は注意が必要です。

新型コロナウイルス感染症を疑うべき目安

次のような場合には、新型コロナウイルス感染症を考えます。

  • 発熱、のどの痛み、咳、鼻水、頭痛、倦怠感がある
  • 周囲に感染者がいる
  • 家庭内で次々に同じような症状が出ている
  • 高齢者や基礎疾患のある方に呼吸器症状が出ている
  • 子どもで発熱と食欲低下が目立つ
  • 回復後も長引く咳やだるさが続く

流行期には、インフルエンザ、RSウイルス感染症、溶連菌感染症、マイコプラズマ感染症など、ほかの感染症との区別が症状だけでは難しいこともあります。実際、厚生労働省とJIHSはインフルエンザと新型コロナの定点報告数を並行して公表しており、両者が同時に流行する時期があります。

診断のための検査方法と適切なタイミング

診断には、抗原検査PCRなどの核酸増幅検査が用いられます。診療の現場では、症状の経過、重症化リスク、同居家族の状況、流行状況もあわせて判断します。厚生労働省は、新型コロナに関する検査体制や受診・相談窓口の情報を継続して案内しています。

ただし、発症ごく早期では検査が陰性でも感染を否定しきれないことがあります。症状や接触歴から疑わしい場合には、初回検査だけで完全に安心せず、経過をみながら判断することが大切です。

治療方法と抗ウイルス薬の適応

多くの軽症例では、安静、水分摂取、解熱鎮痛薬などの対症療法が中心です。咽頭痛が強い、咳が長引く、食事や睡眠が妨げられる場合には、症状に応じた治療を行います。

一方で、高齢者や基礎疾患のある方、免疫不全のある方では、重症化予防のために早期の抗ウイルス薬治療を検討します。CDCが外来治療として挙げている主な薬剤の開始期限は以下の通りです。

薬剤名 治療開始の目安
ニルマトレルビル/リトナビル 発症5日以内
レムデシビル 発症7日以内
モルヌピラビル 発症5日以内

なお、ニルマトレルビル/リトナビルは併用薬との相互作用に注意が必要です。小児では多くは対症療法中心ですが、重症化リスクのあるお子さんでは、年齢や体重、基礎疾患に応じて治療選択を検討します。CDCによると、レムデシビルは小児にも使用可能であり、ニルマトレルビル/リトナビルは12歳以上かつ40kg以上で対象となります。

家庭内での看護と二次感染を防ぐための対策

家庭では、十分な水分、食事、睡眠の確保が基本です。発熱時は脱水になりやすく、とくに乳幼児や高齢者では、飲めているか、尿が出ているか、ぐったりしていないかをよく確認します。

また、発症早期は周囲へ感染させやすいため、以下の対策が大切です。

  • こまめな手洗い
  • 換気
  • 咳エチケット
  • 高齢者や基礎疾患のある方との接触に注意

厚生労働省も、こうした基本的対策を引き続き推奨しています。

出席停止期間の基準と登校・登園の目安

新型コロナウイルス感染症は、学校保健安全法上、第二種感染症として扱われています。文部科学省の通知に基づく出席停止期間の基準は以下の通りです。

発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで

ここでいう「症状が軽快」とは、解熱剤を使わずに解熱し、呼吸器症状が改善傾向にあることを指します。出席停止解除後も、学校保健会の解説では発症から10日を経過するまではマスク着用が推奨されています。未就学児も含め、実際の登園・登校は各園・学校の案内に従うのが安全です。

2026年度以降のワクチン接種と最新情報

厚生労働省は、新型コロナワクチンに関する情報を継続して公表しており、今後も高齢者など重症化リスクの高い方を中心に接種体制が続く見込みです。

また、CDCはCOVID-19ワクチンがMIS-Cのリスク低下にも有効であると案内しています。小児を含め、最新の接種対象や推奨は、その時点の公的情報で確認することが大切です。

早急な受診が必要な救急症状のサイン

次のような場合は、早めではなくすぐに相談・受診が必要です。

  • 息苦しい、顔色が悪い、ぐったりしている
  • 水分がとれない、尿が少ない
  • 意識がはっきりしない、胸痛が強い
  • 高熱が続く
  • 乳児の哺乳不良
  • 基礎疾患のある方の症状悪化
  • 子どもで発熱が長引き、腹痛、嘔吐、発疹、目の充血、強いだるさがある

まとめ:新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染症は、現在も国内で流行を繰り返している感染症です。多くは軽症ですが、内科的には高齢者・基礎疾患のある方の重症化小児科的には乳児・基礎疾患児・MIS-Cに注意が必要です。

  • 主な症状は発熱、咽頭痛、咳、鼻汁、頭痛、倦怠感
  • 高齢者や基礎疾患のある方では重症化しやすい
  • 小児は軽症が多いが、脱水やMIS-Cに注意
  • 早期抗ウイルス薬が有効な患者さんがいる
  • 後遺症として咳、だるさ、集中力低下、嗅覚・味覚障害などが残ることがある
  • 予防の基本は手洗い、換気、咳エチケット、必要時のマスク
  • 学校は発症後5日かつ症状軽快後1日が基準

当院では、成人・小児いずれの新型コロナウイルス感染症にも対応し、重症化リスクの評価、治療方針の相談、登園・登校や仕事復帰のご相談、長引く症状の評価を行っています。症状がある場合はご相談ください。

参考文献

  1. 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症について. (2026年4月10日更新)
  2. 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2026年. (2026)
  3. 厚生労働省/国立健康危機管理研究機構, 感染症発生動向調査週報 2026年第4号. (2026)
  4. 厚生労働省/国立健康危機管理研究機構, 感染症発生動向調査週報 2026年第13号. (2026)
  5. 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A. (2025年2月26日更新)
  6. 厚生労働省, 健康・医療 新型コロナワクチンについて. (2026閲覧)
  7. 厚生労働省, 予防接種・ワクチン情報. (2026年3月3日更新)
  8. 厚生労働省, 2025/26シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンについて. (2025)
  9. 厚生労働省, 保育所における感染症対策ガイドライン. (2023参照ページ)
  10. 文部科学省, 学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について. (2023年4月28日)
  11. 日本学校保健会, 学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉. (2024)
  12. 茨城県, 自宅療養中の方向けの情報. (2026閲覧)
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  16. Centers for Disease Control and Prevention, Clinical Course: Progression, Management, and Treatment. (2026)
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  18. Centers for Disease Control and Prevention, About MIS. (2025)
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