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カンジダ

カンジダ症は、「カンジダ」という真菌(カビの仲間)が増えることで起こる感染症です。

カンジダは健康な人の皮膚や口、消化管などにも存在することがあり、菌がいるだけで病気というわけではありません。汗や蒸れ、皮膚のこすれなどによって皮膚のバリアが弱くなると増殖し、赤み、かゆみ、皮むけなどを起こします1)。

皮膚カンジダ症は適切な抗真菌薬で改善することが多い病気です。一方、繰り返す場合には、蒸れ、糖尿病、薬剤など、カンジダが増えやすくなっている原因を確認することも大切です。

症状

皮膚カンジダ症は、温かく湿った場所に起こりやすいのが特徴です。

特に、

  • わき
  • 乳房の下
  • お腹のしわ
  • 鼠径部
  • お尻の割れ目
  • 陰部周囲
  • 指の間
  • 爪の周囲
  • おむつで覆われる部分

などにみられます1),2)。

典型的には、赤く湿った皮膚炎の周囲に、小さな赤いブツブツや膿疱が少し離れて散らばることがあります。これを「衛星病変」と呼び、カンジダ症を疑う手がかりになります。

かゆみだけでなく、ヒリヒリ感や痛みを伴うこともあります。

原因

皮膚カンジダ症の主な原因は、Candida albicansなどのカンジダ属真菌です1)。

カンジダは身近な菌であり、通常は「誰かからうつされた」ことが原因とは限りません。

皮膚に存在していたカンジダが、増殖しやすい環境になって症状を起こす場合が多くあります。

増えやすい条件

次のような状況では、皮膚カンジダ症が起こりやすくなります。

  • 汗をかきやすい
  • 皮膚同士が擦れる
  • 肥満などで皮膚のしわが深い
  • おむつを使用している
  • ゴム手袋などで手が長時間蒸れる
  • 糖尿病がある
  • 抗菌薬を長期間使用している
  • ステロイド薬や免疫抑制薬を使用している
  • 抗がん薬治療中などで免疫機能が低下している

健康な人にも起こるため、カンジダ症になったからといって必ず糖尿病や免疫異常があるという意味ではありません。

一方、何度も繰り返す、広範囲に発症する、治療しても改善しにくい場合には、背景にある病気を確認します。

主なタイプ

カンジダ性間擦疹

皮膚同士が接触して蒸れやすい部分に起こります。

乳房の下、わき、腹部のしわ、鼠径部、お尻の割れ目などが代表的です。

境界の比較的はっきりした赤みがあり、周囲に小さな赤い発疹や膿疱がみられることがあります。

汗や摩擦も同時に皮膚炎を悪化させるため、抗真菌薬だけでなく、患部を乾燥した状態に保つことも重要です。

指間カンジダ症

特に手の中指と薬指の間などに起こりやすく、皮膚が白くふやけ、赤くただれます。

水仕事の多い、

  • 調理関係
  • 飲食業
  • 清掃業
  • 医療・介護職

などでみられることがあります。

手袋をしていても、中が長時間蒸れているとかえって悪化することがあります。

カンジダ性爪囲炎

爪の周囲が赤く腫れ、痛みを伴います。慢性化すると、爪の形や色が変化することがあります。

水仕事が多い人に起こりやすく、カンジダだけでなく、慢性的な刺激性皮膚炎が関係していることもあります3)。

単に抗真菌薬を塗るだけではなく、水や洗剤への接触を減らし、爪周囲の皮膚のバリアを回復させることが重要です。

おむつ部のカンジダ症

乳幼児や、おむつを使用している高齢者にみられます。

一般的なおむつかぶれは、尿や便による刺激性接触皮膚炎です。一方、カンジダ症では、皮膚のしわの奥まで赤くなり、周囲に衛星病変がみられることがあります。

通常のおむつかぶれとカンジダ症では治療が異なるため、治りにくい場合には診断を確認することが重要です。

陰部周囲

鼠径部や陰部周囲の皮膚にもカンジダ症が起こります。

ただし、この部位には、

  • 白癬
  • 刺激性接触皮膚炎
  • アレルギー性接触皮膚炎
  • 湿疹
  • 細菌感染症

なども起こるため、見た目だけで判断しにくいことがあります。

女性の腟カンジダ症など、皮膚以外のカンジダ症については、本稿とは治療が異なります。

水虫との違い

カンジダも水虫も「真菌」による感染症ですが、原因となる菌が異なります。

水虫は主に「皮膚糸状菌」という真菌によって起こり、カンジダ症は「カンジダ属真菌」によって起こります。

どちらも赤み、皮むけ、かゆみなどが出るため、見た目だけでは区別できないことがあります。

特に足や鼠径部では、白癬との鑑別が重要です。

水虫(足白癬・爪白癬)については、当院ホームページの「水虫」のページで詳しく解説しています。

診断

顕微鏡検査

カンジダ症が疑われる場合には、皮膚の表面や爪周囲などから少量の検体を採取し、顕微鏡で真菌を確認します1),4)。

短時間で行える検査で、白癬との区別にも役立ちます。

ただし、検体を採取する場所や、直前に抗真菌薬を使用していたかなどによって、菌が見つかりにくいことがあります。

必要に応じて培養検査などを追加します。

見た目だけで決めない

皮膚カンジダ症に似た病気には、

  • 白癬
  • 湿疹
  • 接触皮膚炎
  • 乾癬
  • 紅色陰癬
  • 細菌感染症

などがあります。

ここで重要なのが、ステロイド外用薬と抗真菌薬では治療の方向が異なることです。

湿疹だと思ってステロイド外用薬だけを使用すると、真菌症が悪化したり、見た目が変化して診断しにくくなったりすることがあります。

反対に、湿疹に抗真菌薬を塗り続けても改善しません。

「市販薬を塗っているのに治らない」という場合には、一度診断を確認することをお勧めします。

治療

外用抗真菌薬

皮膚カンジダ症の基本治療は、抗真菌薬の外用です1),4)。

代表的な薬には、

ルリコナゾール ルリコン®
ラノコナゾール アスタット®
ケトコナゾール ニゾラール®
ミコナゾール フロリードD®
クロトリマゾール エンペシド®

などがあります。

製剤によってカンジダ症に対する承認の有無や塗布回数が異なるため、部位や症状に合わせて選択します。

例えば、ルリコナゾール:ルリコン®は皮膚カンジダ症に対して通常1日1回、ラノコナゾール:アスタット®は通常1日1回、患部へ塗布します5),6)。

赤い部分だけでなく、その周囲にも少し広めに塗ります。

どのくらいで治る?

皮膚カンジダ症では、適切な抗真菌薬を使用すると、多くは数週間程度で改善します。

かゆみや赤みが先に改善しても、真菌がまだ残っている可能性があります。自己判断ですぐに中止せず、指示された期間使用します。

一方、2週間程度適切に使用してもほとんど改善しない場合には、

  • 診断が異なる
  • 蒸れや摩擦が続いている
  • 湿疹を合併している
  • 細菌感染を合併している
  • 基礎疾患がある

などを考えて再評価します。

副作用

外用抗真菌薬では、まれに、

  • 赤み
  • 刺激感
  • かゆみ
  • 接触皮膚炎

などが起こります。

塗るたびに明らかに赤みやかゆみが強くなる場合には、薬そのものによる接触皮膚炎の可能性もあるためご相談ください。

内服薬

通常の皮膚カンジダ症は、外用抗真菌薬で治療できます。

広範囲、難治性、免疫機能が低下している場合などでは、内服抗真菌薬を検討することがあります1),4)。

内服抗真菌薬には、肝機能障害や他の薬との相互作用などがあるため、患者さんの状態を確認して使用します。

一般的な軽症の皮膚カンジダ症に、最初から内服薬が必要なわけではありません。

ステロイドは使える?

カンジダ症そのものをステロイド外用薬だけで治療することはできません。

ステロイドは炎症を抑えますが、カンジダを殺す作用はありません。単独で使用すると、一時的に赤みが改善したように見えても、真菌が増えて悪化する可能性があります。

一方、カンジダ症に刺激性皮膚炎などの強い炎症を合併している場合には、抗真菌薬による治療を行いながら、医師の判断で短期間ステロイド外用薬を併用することがあります。

「真菌症だからステロイドは絶対に使えない」というわけではなく、真菌を適切に治療しているかどうかが重要です。

日常のケア

蒸れを減らす

カンジダは温かく湿った環境で増えやすいため、患部を清潔にし、長時間蒸れた状態を避けます。

  • 汗をかいたら着替える
  • 通気性のよい衣類を選ぶ
  • 入浴後は皮膚のしわまで水分をやさしく拭き取る
  • 濡れた下着や衣類を長時間着ない
  • おむつをこまめに交換する

などが有効です。

ただし、乾燥させようとして皮膚を強くこすったり、ドライヤーの熱風を当てたりする必要はありません。

洗いすぎない

「カビだから消毒しなければ」と考えて、石けんや消毒薬を何度も使用する必要はありません。

洗いすぎると皮膚のバリアが傷つき、かえって皮膚炎が悪化します。

通常の入浴でやさしく洗い、十分にすすぎます。

アルコール消毒を患部へ繰り返し塗ることも治療にはなりません。

パウダーは?

ベビーパウダーなどで蒸れを減らそうとすることがあります。

軽い摩擦予防として役立つことはありますが、皮膚がジクジクしている状態では粉が固まり、かえって刺激になることがあります。

カンジダ症そのものを治療する効果はないため、抗真菌薬の代わりにはなりません。

おむつのケア

おむつ部のカンジダ症では、

  • おむつをこまめに交換する
  • 尿や便をやさしく洗い流す
  • 強くこすらない
  • 皮膚を乾かしてから新しいおむつを着ける
  • 必要に応じてワセリンなどで皮膚を保護する

ことが重要です。

一般的なおむつかぶれでは亜鉛華軟膏やワセリンなどの皮膚保護剤が中心になりますが、カンジダ症を合併している場合は抗真菌薬を追加します。

市販のステロイド外用薬だけを長期間使用するとカンジダが増えることがあるため、治りにくいおむつかぶれは一度診察を受けましょう。

爪周囲のケア

慢性のカンジダ性爪囲炎では、抗真菌薬だけでなく、水や刺激から指先を守ることが重要です3)。

  • 水仕事では手袋を使用する
  • 手袋の中が蒸れたら交換する
  • 洗剤に素手で触れない
  • 爪周囲の皮膚を切りすぎない
  • 甘皮を無理に除去しない
  • 指先を濡れたままにしない

などを意識します。

長時間の水仕事では、綿などのインナー手袋と防水手袋を組み合わせる方法もあります。

爪そのものが黄色く厚くなっている場合は、カンジダ性爪囲炎ではなく爪白癬などの可能性もあるため、検査して区別します。

繰り返す場合

皮膚カンジダ症を繰り返す場合は、薬を変更するだけでなく、カンジダが増えやすい理由を考えます。

例えば、

  • 皮膚の蒸れ
  • 肥満による深い皮膚のしわ
  • 頻回の水仕事
  • 糖尿病
  • 抗菌薬の長期使用
  • ステロイド薬、免疫抑制薬
  • 免疫機能の低下

などを確認します。

特に、これまで健康だった成人で広範囲のカンジダ症を繰り返す場合や、口腔カンジダ症なども繰り返す場合には、血糖値などの検査を検討します。

ただし、皮膚カンジダ症が一度起こっただけで、糖尿病や免疫不全を疑って多数の検査をする必要はありません。

年齢・特別な状況

乳幼児

乳幼児では、おむつ部のカンジダ症が代表的です。

一般的なおむつかぶれとの区別が重要で、皮膚のしわの奥まで赤い、周囲に小さな赤いブツブツが散らばっている場合にはカンジダ症を疑います。

口腔カンジダ症を同時に認めることもあります。

元気で発育が良好な乳児に一時的なカンジダ症が起こることは珍しくなく、それだけで免疫異常を意味するものではありません。

高齢者

高齢者では、

  • おむつの使用
  • 発汗
  • 寝たきり
  • 糖尿病
  • 皮膚のしわ
  • 免疫機能の低下
  • 抗菌薬やステロイド薬の使用

などが重なり、皮膚カンジダ症が起こりやすくなります。

特に、鼠径部、臀部、乳房の下、腹部のしわなどは蒸れやすい場所です。

皮膚を清潔に保つことは大切ですが、洗浄や消毒を繰り返しすぎると皮膚のバリアが傷つきます。排泄物や汗をやさしく洗い流し、十分に乾かしたうえで、必要に応じて皮膚保護剤や抗真菌薬を使用します。

寝たきりの人では、カンジダ症だけでなく、褥瘡、失禁関連皮膚炎、細菌感染症などが同時に起こることがあります。赤みが続く場合は「カンジダだろう」と決めつけず、皮膚の状態を確認することが重要です。

妊娠・授乳

皮膚カンジダ症では、通常は外用抗真菌薬を中心に治療します。

妊娠中・授乳中でも使用できる外用抗真菌薬がありますが、成分によって安全性に関する情報が異なるため、妊娠の可能性がある場合も含めて診察時にお伝えください。

広範囲への長期使用や内服抗真菌薬が必要な場合は、妊娠週数や治療の必要性を考えて個別に判断します。

授乳中に乳房周囲へ外用薬を使用する場合は、授乳前に乳児が薬剤を直接なめないよう注意します。

糖尿病

糖尿病では、血糖値が高い状態が続くと感染症に対する防御機能が低下し、カンジダ症を起こしやすくなることがあります。

特に、

  • カンジダ症を何度も繰り返す
  • 広い範囲に出る
  • 治療しても改善しにくい
  • 口腔カンジダ症なども繰り返す

場合には、必要に応じて血糖値やHbA1cを確認します。

一方、皮膚カンジダ症を一度発症しただけで糖尿病と判断することはできません。

糖尿病がある人では、抗真菌薬による治療だけでなく、適切な血糖管理も再発予防の一つになります。

SGLT2阻害薬

ダパグリフロジン:フォシーガ®、エンパグリフロジン:ジャディアンス®などのSGLT2阻害薬は、糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病などに使用される薬です。

尿中へブドウ糖を排泄する作用があるため、性器周囲のカンジダ症などの真菌感染症が増えることが知られています7)。

多くは抗真菌薬で治療でき、カンジダ症が起きたという理由だけで必ずSGLT2阻害薬を中止する必要はありません。

繰り返す場合には、皮膚を清潔・乾燥した状態に保つこと、血糖管理、薬を継続する利益などを考えて治療方針を相談します。

自己判断でSGLT2阻害薬を中止しないでください。

受診の目安

次のような場合は皮膚科への受診をお勧めします。

  • わき、鼠径部、乳房の下などの赤みが続く
  • 市販の湿疹薬を塗っても改善しない
  • ステロイドを塗ると一時的に良くなるが、すぐ悪化する
  • 周囲に小さな赤いブツブツや膿疱が増えている
  • 指の間が白くふやけて治らない
  • 爪の周囲が繰り返し腫れる
  • おむつかぶれがなかなか治らない
  • カンジダ症を何度も繰り返す

次の場合は、早めの受診が必要です。

  • 強い痛みや腫れがある
  • 膿が多い
  • 赤みが急速に広がる
  • 発熱を伴う
  • 糖尿病や免疫機能の低下がある
  • 抗がん薬や免疫抑制薬を使用している

発熱や全身状態の悪化を伴う場合には、単純な皮膚カンジダ症ではなく、細菌感染症など別の病気を合併している可能性があります。

まとめ

皮膚カンジダ症は、健康な人の皮膚や消化管などにも存在するカンジダという真菌が、蒸れや皮膚のバリア低下などをきっかけに増えることで起こります。

特に、

  • わき
  • 乳房の下
  • お腹のしわ
  • 鼠径部
  • おむつの中
  • 指の間
  • 爪の周囲

など、温かく湿った場所に起こりやすいのが特徴です。

治療の基本は、

  • 抗真菌薬を適切に使用する
  • 汗や蒸れを減らす
  • 皮膚を強くこすらない
  • 水仕事などの刺激を減らす
  • 必要に応じて糖尿病などの背景を確認する

ことです。

カンジダも水虫も真菌症ですが、原因となる菌は異なります。また、湿疹や接触皮膚炎など、見た目が似ていて治療がまったく異なる病気もあります。

そのため、「赤くてかゆいから水虫薬」「治らないからステロイド」と自己判断で薬を変更し続けるより、顕微鏡検査などで原因を確認してから治療することが大切です。

適切に診断して治療すれば、多くの皮膚カンジダ症は改善します。また、繰り返す場合には、薬を塗るだけでなく、蒸れ、水仕事、おむつ、血糖値、使用中の薬などを見直すことで再発を減らせることがあります。

治りにくい赤みや皮むけ、繰り返すおむつかぶれ、指や爪周囲の炎症はご相談ください。

水虫(足白癬・爪白癬)については、当院ホームページの「水虫」のページで詳しく解説しています。

参考文献

  1. 日本医真菌学会ガイドライン作成委員会 皮膚真菌症診断・治療ガイドライン2019 日本医真菌学会雑誌 2019;60(3):75-100.
  2. Metin A Intertriginous candidiasis: an overview of the clinical manifestations, diagnosis and management Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology 2018;11:175-185.
  3. Rigopoulos D Acute and chronic paronychia American Family Physician 2008;77(3):339-346.
  4. 日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン改訂委員会 皮膚真菌症診療ガイドライン2025 日本皮膚科学会雑誌 2025.
  5. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 ルリコンクリーム1%・ルリコン液1%・ルリコン軟膏1% 電子添文 2023年10月改訂.
  6. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 アスタットクリーム1%・アスタット外用液1%・アスタット軟膏1% 電子添文 2023年10月改訂.
  7. Liu J Effects of SGLT2 inhibitors on UTIs and genital infections in type 2 diabetes mellitus: a systematic review and meta-analysis Scientific Reports 2017;7:2824.

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