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小児への新型コロナウイルスワクチンに関する個人的見解(2022/3/29更新)

2022.03.09

「うちの子にもワクチンをやった方がいいのでしょうか?」と質問を受ける機会も多くなってきました。

当院でも、2022/3/11から小児に対する新型コロナウイルスワクチン接種が始まります。

それに先立って、2022/3/9時点での院長の見解を述べさせていただきます。

結論として、現時点での接種を強くオススメする理由も、控えたほうがよいとする理由も、

どちらも根拠が乏しく判断に迷う・・・というのが個人的見解です。

なお、院長は成人に関しては3回接種を強くお勧めする立場であることを前提にお読みください。

(反ワクではありません)

まず第一に重要な事として、厚労省も日本小児科学会も小児(5-11歳)に対するワクチン接種を推奨しています(1)。

これは、デルタ株までのワクチン研究や、オミクロン株も含めた大人に対するワクチンのデータに基づいています。

一方、国や州によっては健常小児へのワクチン接種を推奨していない地域もあります。

院長も、デルタ株までの状況下では、小児のワクチンも必須だと考えておりました。

ではオミクロン株においてはどうかというと、参考になるデータとして2022/3/4に米国(CDC)からオミクロン株に対するワクチンの効果が報告されました(2)。

これによると、小児(5-11歳)に対するワクチン2回接種は、新型コロナによる救急外来受診を約50%減少させるとのことです。

一方気になる情報として、別の報告では、発症予防効果は一ヶ月間で68%→12%に減少するというデータもあります(3)。

(ただし、この報告は未査読論文であり、方法論が十分批判検討されておらず、また症例数も限られています)

また、入院に関しては先のCDCの報告でワクチンにより74%減少すると報告されています。

ここでオミクロン株が小児にとってどのぐらい危険か考えてみたいと思います。

理由は不明ですが、既知の通り、日本では欧米よりも新型コロナ感染症の発症者や重症例は少ないです。

実際のところ、デルタ株までの報告では、日本では5-11歳において死亡例はなかったそうです(4)。

最近、10歳未満の小児がオミクロン株感染により亡くなったという痛ましい報告がありましたが、もともと呼吸器をつけた方であり、ハイリスク症例だったと言えます(5)。

小児においてもオミクロン株はデルタ株より軽症なのは明らかであり、(近隣主要施設に聞く限りは)現時点では入院するようなケースも(ほぼ?)無いようです。

となると、重症化予防効果と言っても、そもそも重症化するケースがないのではないか・・・という疑問が生じます。

例えばインフルエンザワクチンは脳炎/脳症や死亡例を減らすということを根拠に接種を勧めています。

これまでのデータからは、小児においては新型コロナウイルスよりもインフルエンザの方が驚異なのは間違いないでしょう。

となると、重症化予防を根拠にワクチンを勧めるのは説得力に乏しいと考えます。

※2022/3/29追記 3/22までの統計で、10歳未満は男児2名、女児1名の死亡例があったそうです。

重症者(人工呼吸器使用やICU入室例)に関しては、2月以降全国で毎週5-9名程度が報告されています(6)。

なお、基礎疾患の有無や病状等に関しては公表・報道を見つけることができませんでした。

発症予防の観点から考えても、一時的に50%以上の発症予防効果が期待できますが、効果が月単位で急激に減少していく可能性があります。

オミクロン株を乗り切れば新型コロナウイルス感染症が収束するなら今全国民一斉に打つのに賛成ですが、今回の波で終わる保証はありません。

万が一次の波が小児にとってより驚異的な変異株だった場合、効果が低下したタイミングで感染拡大に直面する可能性もあります。

正直なところ、2回接種後・3回接種後の人がオミクロン株にかかって毎日受診している当院の現状を見ると、一部の小児がワクチンを接種したからと言って感染拡大が収まるとは到底考えられません。

自然に収束するのを待つしかないのでしょう。

デメリットの観点から考えると、ワクチン量が12歳以上の場合と比較して少ないため、副作用は比較的少ないとされています。

発熱が8%、リンパ節が腫れて痛むのは1%程度ありますが、心筋炎は極めて稀です。

未知の副反応もあるかもしれませんが、それは感染した場合も同じことなので、極端に恐れる必要はないと考えます。

接種によるメリットが大きければ許容できる範囲の副反応と言えますが、気になるのは上記の通りメリットがどこまであるのか・・・という部分です。

院長の頭の中では、メリットとデメリットを天秤にかけた場合、明らかにメリットが上回るとは自信を持って断言できないのが現状です。

この考察はあくまでも2022/3/9現時点でのものであり、今後感染拡大が進むにつれ小児の重症例が増える可能性もゼロではありません。新たな情報があれば、その都度ワクチンの意義を検討し必要に応じてお知らせ致します。

院長も判断に迷う部分ですので、接種に関しては個々の考えのもとご検討いただければ幸いです。

なお、基礎疾患のあるお子さんに関しては、個人的な意見としても接種をお勧め致します

(基礎疾患にはコントロールのついた喘息などは当てはまりません。ケースにもよると思うので主治医に相談してください)

また、ワクチンの性質上、接種時期を逃すと、打ちたいときに打てなくなる可能性もゼロではありません。

ワクチンを一本あけるのにある程度の接種者がいないと破棄する分が多くなってしまう為、従来の予防接種のように、希望した日にクリニックで接種できるものではありません。

鉾田市のワクチン接種事業がいつまで続くか現時点では不明ですが、その点も検討の材料に入れていただく必要があります。

当院としては、小児のワクチンに関する推奨度についてはまだ結論を出せずにおりますが、優先順位としては成人の3回目の方が圧倒的に高いと考えております。成人の3回目がまだ終わっていない中で小児の接種にキャパを割こうとする国の考えは全く理解できません。当面は限られた枠の中で希望者の小児ワクチン接種を行い、成人の3回目接種に引き続き注力するつもりでおります。

参考)

(1) 厚労省ホームページ  ←わかりやすく情報がまとまっているので、ぜひご一読ください

(2) CDCホームページ

(3) medRxiv pdf

(4) 小児新型コロナウイルス感染症入院例の特徴

(5) NHKニュース

(6) 厚労省 データからわかる ー新型コロナウイルス感染症情報ー